インバウンド消費

 

インバウンド消費

2014年の訪日外客数は1300万人を超え、その国内旅行消費額は2兆円を超えた。少なくとも 2020年東京オリンピック・パラリンピック開催までは、よほどの政治リスクがない限り、間違 いなく訪日外客は増え続けるという。  そうなると、インバウンド受け入れや、その整備は当たり前の世の中になってくる。次に、 重要になってくるのは継続的なプロモーションである。特に認知拡大に重きを置いた活動が必 要になり、オリジナリティとファンづくりがポイントとなる。訪日外客は一過性の一見客ではない。 リピーターも増えており、SNSの普及によって、日本に来たお客さまが別の外国人を連れてきてくれ る効果もある。

■「+TOKYO」

2020年には、訪日外客が2000〜2500万人と推定されており、将来的には中国人が訪日外客数1位になる。 また、政府発表によると、2020年は旅行消費額が4兆円に増える見込みである。  今は東京、大阪、京都のゴールデンルートばかりに人が集まっているが、今後は「+TOKYO」という考え方で、 政府、観光事業者は訪日外客に地方にも行っていただきたいという思惑がある。2500万人が東京に集中すると、 飛行機もホテルも足りなくて受け入れられないことは分かりきっており、熊谷、水戸、静岡などから新幹線や 特急でオリンピックを見に来るということが現実味をおびてくる。今後は例えば九州から入ってもらい、 東京に行くけれど、最終的に札幌から帰ってもらうという「+TOKYO」の考え方が重要になってくる。

■インバウンド消費の変化

訪日客は一過性の一見客のままではない。リピーターが増えると、ヘビーユーザー化と多様化に二極化する。 それらに対して購入のメリットや再購入の利便性を向上させることが一つのポイントとなる。  また、リピート率が上がると、モノ消費からコト消費にシフトが起こる。今、中国人は単純にモノを買っているが、 今後は「○○だからこの商品を買っていただくのがいい」「この商品を買うとこんないいことがある」など、 ストーリー性を訴求して、コト消費にも対応することが必要になってくる。  また、訪日外客をひとくくりにしてしまうと失敗する。性別、年齢、国籍、年収、個人の趣味などのデモグラ フィックやサイコグラフィックが違えば、ニーズが違うのは当然である。そこを見極めてセグメンテーションし、 有効なメディアを使い、情報発信をすることがますます重要になってくる。

■インバウンドからグローバルヘ

インバウンドのマーケティングは、短期的な結果を求めてもすぐに結果に結び付く状況ではなく、根気よく 継続的な活動が必要である。また、日本に来てからよりも日本に来る前からの訴求が重要であるという。今後 は自然発生的な流行は減り、費用を掛けた企業が仕掛けて流行をつくりだすことになっていくのではないかと いわれている。  インバウンドマーケティングという言葉でくくっているが、これはグローバルマーケティングに続いていく。 日本で製品を買ってもらうことが最終のゴールではなく、日本で買った製品が良かったから、海外でも買っても らえる。中国人が日本で買って、使ってみて良かったから、中国で売っているその製品を買って、中国国内での シェアを上げていく。海外進出の足掛かりとして日本限定の製品の人気を上げて、最終的には世界での展開が 可能となってくる例も多く出てくるのではないか。  グローバル展開を見据えた上での活動が今後の重要なポイントになってくるのである。