お客様視点に立った売場づくり

 

お客様視点に立った売場づくり

花王カスタマーマーケティングは「お客様視点に立った売場づくり」というテーマに2010年から着手。当時、 団塊の世代が60歳に至るということで、販売店や小売業がいよいよ本格的にシニア向けの店舗開発やサービスに 着手し始めた頃である。

■さまざまなシニア像

例えば、シニア世代は土日ではなく平日に、夕方ではなく午前中、特に11時頃の買い物が非常に多い。 最近は退職して家事に参加する60歳以上の男性が非常に増え、そういった人の買い物時間が長くなっている。 年代別に見ると、若年層は仕事の関係もあり、土日の買い物時間が多く、年代が上がるにつれて平日の買い 物時間が伸び、特に60歳あたりから平日型になってくる。平日の買い物時間を男女別に見ると、男性は60歳 ぐらいから急に多く、シニア男性も買い物に参加するという前提で売場を検討する必要性がある。食品スーパ ーでの買い物時間を年代別に見ると、上の年代は午前中に買い物をすることが多く、夕方の時間帯は、若い方が 仕事を終え買い物をしている。朝の時間帯の店頭状況を検証すると、品出しがおこなわれ、割引セールは夕方が 中心である。シニアの方々は、本当にそのお店に満足して買っているのか、買いやすい状況なのか、疑問点はある。

■独自調査から見たシニアの購買行動の特徴

店頭で商品をどれぐらい比較検討して買うのかについては、シニア世代は他の年代に比べて、あまり比較せずに、 決めていた商品を買っている。また、「新製品に興味を持つか」という設問に関しては、どの年代でも「持つ」とい う回答が一番多いが、シニア世代は逆に「持たない」「あまり持たない」という回答が多い。また、「演出などが付 いて売場で目立っている商品を買うか」という設問に、シニア世代は「買わない」「あまり買わない」が多く、決ま ったものを買い続ける傾向にあると想定される。さらにスーパーマーケットへの来店頻度が非常に高く、一日に複数 回来店することも確認されている。目的の商品の売場にたどり着くには、まずはそのカテゴリーを代表するブランド がどこにあるかを頼りに探し、その商品が見つかると、上下の棚で比較検討するという流れが判った。若年層に比べ てシニア世代はたくさんの棚の比較はせず、上下程度で比較を終え、立ったまま目で追える範囲で商品を探すという ことだ。売場のどこを見ているかでは、30〜40代は、上下色々な棚を見ながら商品を探し、比較検討しているが、 シニア世代は、あまり上や下の方は見ない。30〜40代の方は上から2〜3段目をよく見ているのに対して、シニア世代は、 下から2〜3段目と、見ている位置が少し低いことが分かっている。通常、下から75〜125cmをゴールデンラインと見据え、 そこに売れ筋の商品を配置しているが、シニア世代の目線は一段低いのである。当然このシルバーライン(下から2段)には、 シニア世代がよく使うものを配置すべきである。

■ユニバーサルデザイン定番へ

花王カスタマーマーケティングが提案する買いやすい売場とは  
@同じカテゴリー・用途のものをゴンドラごとにある程度区切る。  
A代表ブランドを探しながらその売場にたどり着けるように、その売場のカテゴリーサインとして、 代表ブランドをどの年代にも共通してよく見られている棚に配置する。  
B販促物等で、そこは何のシーンで使うものかが分かるようにする。  

花王商品はすべての年代を対象にした商品であることを踏まえ、新しいニーズや売場に対する要望をい ま一度確認しながら、新しい売場に変えていくことに着手している。その第一歩として、2012年春からユ ニバーサルデザイン視点を取り入れた売場を全国に展開している。