越中富山 幸のこわけ

 

越中富山 幸のこわけ

地方発のプロジェクトは様々に見られる。しかしながら成功していると思われるプロジェクトはそれほど多くはない。 自治体からの支援を受けてなんとかやっているケースが多いのではないか。自力で利益を出して実行できるプロジェク トとなるとほんの一握りと言っても過言ではない。そんな中で成功を納めているのが富山の「幸の小分け」である。

■富山県デザインセンターによる主導

「幸の小分け」プロジェクトは富山県の外郭団体である、富山県デザインセンターが主導している。デザインを切り軸に 富山県の産業の発展をサポートするユニークな団体だ。デザインを切り軸にしているため、「幸の小分け」も非常にスマ ートでお洒落である。失礼な言い方だが、地方発の商品とはとても思えない洗練されたデザインだ。このデザインの良さ もターゲットとして考えている女性や出張族に受け入れられ安い効果を出している。ちょっとしたお土産にセンスのいい お土産というニーズを上手に押さえているのがポイントだ。商品は富山の伝統的な商品が中心で、ややもすれば古いイメ ージがでてしまいそうな商品である。それを「幸の小分け」という新しい入れ物で見せることで、全く新しい価値を産む ことに成功しているといえよう。

■妥協しないプロジェクト

「幸の小分け」は地元の一過言持つ女性による選定委員会で選定されている。よくあるのは、そういった選定を無視した、 いわば強引な入れ込みだ。地方では特にそのような事態がよく起こる。しかし、「幸の小分け」は一切そういう事を排除し ている。きちんとした基準で選定された商品だけがラインアップに並んでいる。買う方からすれば、非常に信頼のおける 商品である。商品選定には差色々とご苦労もあろうかと思う。しかし、一切の妥協をせずに運営している点は立派である。 これも、富山県デザインセンターという県庁の内部組織では無い点も大きいのかもしれない。

■実行計画

このプロジェクトは、3カ年計画で実行されている。その計画は緻密で、さらに実行されて事に対する総括や反省がきちん と行われている。反省点は次の年度で修正されている。例えばパッケージデザインは当初のものから修正されている。この ように問題点・課題をきちんと明らかにしてクリアしていく運営方針は、地方発プロジェクト推進で見習うべき点である。 一度決まった事は疑問を持ちながらも進めてしまうお役所的な仕事では無い。

■自立化

このプロジェクトの最大のポイントは、プロジェクトの自立化を目指し、実行していることだ。富山県いきいき物産という 会社を窓口に自立化に向けてスタート切っている。自立化という目標は本当に大事なことである。自治体の支援によってな んとかやっているケースが数多く見られる中で、早期の自立化にこぎつけた点は特筆すべき点であると言える。 プロジェクトスタート時点では、役所の下から上へあげていく方法では駄目で、富山県知事に直訴してトップダウンで決定し スタートした経緯が語られている。このプロジェクトがいかに今までのプロジェクト枠を超えて企画され実行されたかがよく 分かるエピソードである。 デザインの力を全面的に押し出したこのプロジェクト。今までの自治体主導による地方発プロジェクトとはひと味もふた味も 違うプロジェクトである。今後のさらなるプロジェクトの発展に期待したいと思う。