View Point ヒット商品スーパーソックスで自社ブランドを確立

 

ムレやにおい対策の機能性を高めた「スーパーソックス」が、発売2年間で150万足を売り上げている。靴下専業メーカーとして国内最大手、岡本の初の自社ブランド製品である。

紳士用靴下はコモディティ商品の典型だ。いまや中国などの安い輸入品が70%を占める。このような市場環境の中で、岡本は果敢に自社ブランド開発に挑戦している。しかも従来の“デザイン”ではない、“機能”という付加価値への未踏の挑戦である。

多くの業界で商品のコモディティ化と市場の縮小化が進む。業界の常識を覆し、靴下市場を活性化する「スーパーソックス」の事例には、この宿命論を超える様々なヒントがある。

◎いまこそ時代認識と経営理念

なぜ、岡本は厳しい環境の中であえて自社ブランドに挑戦しよとしたのか?なぜ、“よりどり3足1000円”の世界で1足800円の商品をヒットさせることができたのか?この問いに答えを出すのは容易ではない。

「スーパーソックス」への挑戦は、法人設立50周年を契機に中期ビジョン「世界に通用するマーケティング力の優れたメーカーを目指す」を掲げた業務革新運動「OKAMOTO RENASSANCE」の最初の具現化への挑戦であった。当たり前かもしれないが、真っ暗な闇の中を進むには導くための明かりが不可欠である。改めて経営者のもつ時代認識と明確な経営ビジョンが不可欠となっている。

◎ホンマモン(本物)の靴下づくり−開発技術

「スーパーソックス」の成功は、“ホンマモン(本物)の靴下づくり”を実現したことにある。それを可能にしたのが岡本の開発力だ。抗菌・防臭を謳った靴下は巷に溢れていた。そこに素材そのものから見直し、画期的な「BREATHE FIBER」の開発に成功している。

今後の展開として「BREATHE FIBER」グループという技術によるブランドエクステンションが計画されている。

◎ホンマモン(本物)の靴下づくり−生産技術

“ホンマモン(本物)の靴下づくり”を可能にしたもうひとつの技術が、企画から調達・生産・販売の一気通貫の仕組みで、そのエンジンに当たるのが「OQR-5」という先進的な生産システムだ。

靴下業界では、編み立てから箱詰めまでの工程が細分化、分散化されていた。その分業化された工程を一本化し、自社工場ラインで一貫生産とIT技術を組み合わせて「残さず切らさずローコストの供給の仕組み」をつくりあげている。この他社には真似のできない生産システムも成功を支えた大きな要素であろう。

◎“均整”の取れた戦略

神戸大学の三品和広先生は戦略の3要素として「立地」「構え」「均整」という独特な言葉で表現している。中でも「均整」は岡本の戦略を理解するキーワードだ。つまり戦略の有効性はボトルネックで決まる。岡本の取り組みのひとつひとつには一見、目新しい仕組みがないように見えるが、その“均整”の取れた戦略こそまさしく戦略の有効性を保証しているといえよう。

“均整”とは例えば、オリジナル素材「ブリーズファイバー」の開発、トヨタかんばん方式を応用した生産システム、ターゲットに接近するユニークなブログサイト「今日もガンバレ!足クサ男」、顧客との接点である独自な売場づくり、などだ。この“均整”こそ、冒頭の「スーパーソックス」成功の答えといえるのではないか。