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JMR生活総合研究所

「日常生活価値」の提案 07年の店頭告知プロモーション!

 

 TV広告にバックアップされた「マスプロモーション」の到達率は桁違いである。

 07年、キリンビールの「選ぼう日本のうまい2007」は、47都道府県の名産物が47000名に当たるとして、2100万口強の応募を得た。06年では2700万口であった。キリンビールは98年、1150万口を獲得した「復刻ラガープレゼント」以降、毎年「大型のキャンペーン」を展開している。

 アサヒビール「スーパードライ20周年プレゼント」、サッポロビール「日本よ、もっとうまくなれ!」、サントリーの「福T当たる!」など、いつものようにビール会社のキャンペーンが莫大な応募者を集めている。

 しかし、テレビ広告のバックアップを中心としたマスキャンペーンの色彩は、このところ影をひそめ、むしろ顧客の日常生活に根ざした、地道なプロモーションが増えている。

新たな日常の「集客装置」

 07年は、東京に、様々な集客スポットが誕生した。3月の東京ミッドタウン、4月新丸の内ビルディング、9月プランタン銀座のリニューアル。さらに10月有楽町イトシア、エキュート立川、GranSta、11月大丸東京である。新丸の内ビルディングで、東京駅前周辺丸の内再開発を一段落した三菱地所は、10月の有楽町マリオンオープンにあわせ、新丸ビルと、丸ビルで、共催イベントを展開した。「のだめフェスティバル」「PLAY Marunouchi/朝EXPO」など、集客スポットでのイベントが大きなメディアになっている。

 銀座、丸の内、有楽町での様々なイベントに集まる多くの人々は、そこで仕事をして、生活をして、買物をしている「日常的な通行者」である。「タウン」は日常生活に立脚した「集客スポット」となっている。

 日経新聞・07年ヒット商品番付の東西横綱になった「Wii & DS」と、「電子マネー」のように、プロモーションメディアの電子化が大きく進んでいる。

 3月に、「Suica」から、「PASMO」に進化したJR東日本の電子マネーが、爆発的な人気となり2000万枚が発行された。ビットワレットの「Edy」は、累計発行件数が3000万枚、「スマイルクーポン」「ハッピー優待」の新しいサービスを導入した。

 これに対抗して、プライベート電子マネーを発行したのが、セブン&アイとイオン。セブン&アイの「nanaco」が、半年で500万枚発行し、初年度で1000万枚を目標にしている。

 イオンの「WAON」は4月にスタートし初年度目標は800万枚である。

 電子マネーは、08年にTOICAとSuica・ICOCAとの相互利用が開始されるなど、今後も発行枚数を増やし、利用頻度もさらに高まるであろう。

 電子マネーの普及で、相乗効果となって活発化してきたがポイントカードである。各社のポイントが交換できるような提携が進んでいる。これまで、ポイント発行の同じ会社の、しかも「値引き手段」でしか使えなかったが、他社の会社のポイントと交換でき、さらにポイントカタログでも選べるようになるなど、多様な恩典を受けることができるようになった。どうせなら、ポイント交換が可能な会社・店を選択するようになり、ストアロイヤルティ、リピート促進に目覚しい成果が出るようになってきた。

 「タウン」という生活商圏、さらに「電子マネー」という、日常生活の「財布」、このふたつがTV広告を上回る「集客装置」になった。

店頭の「集客力」と「情報発信力」

 「集客力」に関して言えば、小売の「店頭」は大きな課題となっている。既存店不振の原因となっている「客数減少」が止まらないからだ。

 例えば、東急ストアの07年度上期の既存店実績は2.9%の減少である。客数が2.7%の減少となっていること大きな要因である。

 ユニーでは、全店149店の既存店の内116店が前年マイナスである。その要因は、既存店合計でマイナス2.9%となっている客数減少(客単価ではプラス0.2%)である。

 「客数」を維持・拡大しつつ、粗利益を確保することが、チェーンストアの大きな課題となっているが、その注力カテゴリーは「生鮮・惣菜」である。東急ストアも、上期の不振について「生鮮」にあるとして、下期は「生鮮強化」を宣言している。「生鮮・惣菜」こそ、「日常生活」に密着したものであり、チェーンストアにとって粗利益が高いからである。

 07年後半、チェーンストアの実績に変化が出てきている。既存店不振は相変わらずであるが、「食品」がプラスに転じている。特に「青果」が良い。

 地場スーパーの加盟が多い「スーパーマーケット協会」では、「畜肉」は「既存店プラス」が続いているが、「青果」も8月から11月まで連続してプラスとなった。

 「チェーンストア協会」でも、「青果」は9.10.11と3ヶ月連続プラスである。明らかに「生鮮」が、量販店を牽引し始めた。(図表3参照)

図表3 07年スーパーの既存店実績

 「生鮮」に、客が戻りつつある。その影響を、プロモーションも受けている。「店頭プロモーション」の質が変化している。

 従来、「店頭」におけるプロモーションの多くは「加工食品」であり、「雑貨」であった。店頭プロモーションのコストが「メーカー」に依存していたからである。

 それが、「生鮮」にシフトしてきているのである。「生鮮」、特に「日本の『地』の生鮮」の情報発信力が強化されてきたからである。

 東国原宮崎知事はその象徴である。今や「宮崎」はひとつのブランドになっている。県庁に隣接する「みやざき物産館」では、昨年まで1日平均170人だったのが、8月13日には1000人になったという。宮崎県産マンゴー、宮崎地鶏、「宮崎」という名前と「東国原知事」のキャラクターが付いているとよく売れる。

 同時に、百貨店やスーパーでの「宮崎フェア」も、大幅に増えている。ファミリーマートでは、「そのまんま宮崎フェア」を8月に全国7000店で展開した。

 大手チェーンとローカルの結びつきは、多様に広がっている。セブンイレブンは「長野県」と包括提携を行い、「信州道楽フェア」を長野県全店で展開した。

 従来は、単独県での物産展が中心であった百貨店でも、テーマを絞り込み全国からの参加を取り付けるフェアが増えている。百貨店自らの買い付け力、MD力が問われるのである。阪急百貨店は、47都道府県の著名お弁当集めた「弁当スタジアム」を企画した。

「地」の発信力活用

 「地産地消」をはじめとして、「日本の『地』の確かな食材」と連携したプロモーションが店頭を楽しくしている。

 冒頭に触れた、キリンビールの「選ぼう日本のうまい」キャンペーンはその代表である。日本各地の確かな「地」の食材と連携した「メーカー」のプロモーションが増えている。

 北海道を「地元」とする雪印乳業や、サッポロビール、さらには、すっかり札幌企業となった「日本ハム」は、「北海道食材」をアッピールしている。

 サッポロビールは、「北海道で日本よ、もっとうまくなれ」とネーミングした、北海道の顧客が選んだ、「北海道の厳選食材」が4万名様に当たる、「全国キャンペーン」を展開した。

 「はくばく」は、6月16日を「麦とろの日」として、「全国47都道府県の名物と麦とろを組み合わせたメニュー」のコンテストを実施した。「麦とろ」はともかく、どんな食材が選ばれているか覗きたくなる。

 東海漬物では、「産地選べる!贈れる・旬のこだわり産直野菜プレゼント」として、当選者と「贈りたい人」、ダブルで「北海道・加賀・宮崎」からの直送されるキャンペーンを展開した。

 こうした施策は、06年商標法の改正により、「農業・水産業の協同組合」などの団体だけが商標を登録できるようになったころから活発になっている。07年12月11日時点で、全国で331件が認可されている。

 さらに、農水省では「食のブランド化支援」として、情報交換や調査、コンサルティングを行う事業をスタートさせる。

 また、農水省と厚生労働省の共同で設定された「食のバランスガイド」は、ローソンやイトーヨーカ堂、ライフでの検証実験を経て、07年度ではマルエツやユニー、オリジン東秀パルシステムなど16社・団体がモデルとして取組みを行う。

 こうした行政の取組みに呼応するような形で、01年に発足した「日本ベジタブル&フルーツマイスター協会」が育成している「「野菜ソムリエ」や、アメリカから始まった食の運動「5ADAY」(1日5皿の野菜と200g以上の果物を食べましょう)の取組みが活発になっている。

 キューピーは、各チェーンとの共同で、「シニア・ベジタブル&マイスターが選んだ、旬のこだわり野菜プレゼント」を継続的に実施している。

 昨今、チェーンが力を入れている「食育」にも、数多くのメーカーが共同している。

 今、「食」は各チェーンとメーカー、団体、行政を巻き込む、大きなトレンドとなっているのである。

「キリンビール」と「カゴメ」

 加工食品・飲料のメーカーで、「日本の『地』の生鮮食材」に注目してTV広告まで連動させたプロモーションを行ったのは「キリンビール」である。02年、JA宮崎から「ビールとゴーヤを一緒にPRできないか」と相談を受けたのをきっかけとして、全国で「地元の食材」とのタイアップが始まった。

 「選ぼう日本のうまい」では、全国プロモーションの他、各チェーンとは個別の共同プロモーションを実施している。

 キリンビールのチェーンとの取組みでの特徴的は、「キリングループ」として展開していることで、飲料のビバレッジやメルシャンも対象商品としている。こうした手法は、「勝ちT」の「サッカー日本代表」をテーマとしたプロモーションでも、発揮され、「キリングループ」と個別チェーンとの共同キャンペーンになっている。ファミリーマートとはキリンビール、ビバレッジ、小岩井乳業製品を対象とする「がんばれ!サッカー日本代表」キャンペーンを実施している。

 「食」をテーマに、チェーンとのプロモーション連携を図っているメーカーとして、「農業企業宣言」をしたカゴメも目立っている。カゴメでは「食育」「食文化」「食生活」「カゴメ品質」の4つのプロモーション体系を準備しており、その活動はダイナミックである。

 特に「トマト」についてのプロモーションメニューは豊富で、「トマトジュース専用品種=凛々子」の苗プレゼントや、「食育体験隊募集」、「栽培学習」などを展開している。

 ローソンとは、「カラフルクッキング」教室を、カゴメの「キッチンスタジオ」で実施している。ローソンが大阪府立健康科学センターと共同開発した弁当・惣菜・サラダと、カゴメ野菜飲料の購入者から抽選で招待するもので、「Wチャンス」として、カゴメ「野菜生活」4本セットもプレゼントされる。

 こうしたキリンビールグループやカゴメの「食」を巡る、多様で継続的な取組みは、すっかり「らしさ」に繋がっている。一過性の「企画パクリ」だけでは、追随できないレベルに達しているといえよう。

「和」がトレンドに

 「地の食材・地域ブランド」に対する関心、さらには「食の安全性の追及」のための「国産志向」によって、「日本=『和』」がトレンドになっている。

 亀田製菓は、そのものズバリ「宮内庁御用達・和の逸品プレゼント」で、山田平安堂・深川製磁の食器が600名に当たるキャンペーンを実施した。

 また、通常欧米の女性がモデルで登場するような「ヘアカラー」でも、「ダリア・サロンドプロ」は、「いい旅・いい時間、ご夫婦でごゆっくり・名湯100選温泉旅行プレゼントを実施した。

 すっかり、「温泉旅行プレゼント」は、プロモーションの有力な手段となっている。

 こうした傾向は、いわゆる「少子高齢化」と無関係ではない、コンビニエンスですら、プロモーションとして「高齢者」を意識している。スーパーも、レストランも時代とともに客層年齢が上がってきている。

 この世代の中心に「団塊世代」があり、その子供たち「団塊ジュニア」が見ている「和」は、多分、一時代前、つまり「昭和」を見ている。

 セブンイレブンは、映画「ALWAYS続・三丁目の夕日」とタイアップしたフェアを展開した。昭和の即席ラーメン復刻版や、ビー玉入りの瓶ラムネなどの限定商品を集めたフェアである。

 ローソンは、「昭和レトロ・路面電車プレゼント」を実施し、サークルKサンクスも赤塚不二夫プロ監修の「昭和なつかし・レトロフェア」を展開した。

 コンビニエンスストアと「和・昭和」、似合うような時代になってきた。

コミュニケーションの信頼性

 07年、「食」を中心にして、著しく信頼性を損なう様々な事件が頻発した。その対応を巡る喧騒は、説得力のない貧しいコミュニケーション力を、嫌というほど見せ付けられた。

 しかし、マーケティングの一手段である「コミュニケーション・プロモーション」でも、部分的ではあるが、誇張のありそうな商品説明や、プレミアムのギミックで購買をそそるようなところがある。マス広告・マスプロモーションの「信頼性」や、「説得力」に疑問がつけられることもある。

 プロモーションが、「小手先のギミック」ではなく、信頼性のある説得力をもつために、いくつかの課題が明確になっている。

 第一は、「日常性」である。

 プロモーションが、1人1人の顧客の日常的な生活場面に密着して展開されることである。「電子マネー」や「ポイントカード」は、もはや「日常生活」となっている。「食」がこれほどの情報力をもつのは「日常の生活」だからである。

 消費の多くが「衝動」で、しかも昨今のように、「検索」の次に「アクション」がくるような時代だからこそ、「購買時点」コミュニケーションが重要になる。その場は「日常生活」である。

 二つめは「オープン」ということである。「開かれた場」だからこそ誤魔化しの効かない顧客への懸命な説得力が必要となる。ポイントカードは、各社の提携が進んだことによって、顧客の検索・検証を促進した。

 「地のもの」「地産地消」も、生産者の顔が見え、メッセージがあり、日々の生産過程が伝えられることで信頼性が増している。これまで「地のもの」は、ご当地では当たり前のものとして脚光を浴びることが少なかったが、近年の「地産地消」によって、「その土地のものだからこそ価値がある」という認識が広まってきている。セブンイレブンのお弁当は、半分以上が、地域限定商品で占められており、人気の高い弁当は、その多くが、地域限定商品だという。

 第三は、「統合」ということである。「プラットフォーム」と言い換えてもよい。「オープン」だからこそ、多様なメディア、メッセージを組み込むことが可能になる。協働でメッセージしたい企業・関係者、顧客が入り込むことができる。説得が縦にも横にもなることができる。

 さらに、メディアが「統合」される。「売場」と「POP・什器」と、「チラシ」と「クーポン」と「ポイントカード」、そして「人」までもがコミュニケーションに加わる。

 信頼性の高い説得力とは、こうした構造によって生まれる。店頭やイベントでの「コラボレーション」、共催、タイアップが進んでいることもその表れであろう。

 サンスターは、全国の「歯科医院」を支援するように、「歯医者さんに行こう」キャンペーンを展開した。歯科医院に行って、捺印を貰うことを応募条件とするもので、多分、歯科 医向けの告知も、合わせて実行しているものと推測できる。市販と、歯科向けビジネスをつなぐ、プロモーションであり、メーカーのコラボレーションの枠組みが、広がってきていることが理解できる。

 「食」における、メーカー・量販店・経済連・ぎょれん・自治体・各種協会、さらには、病院や社会福祉施設などなど、プロモーションにおいて共同する関与者が立体的になっている。

 プロモーションで伝える中味が安定し、その枠組みが広がってきていることは好ましいことである。顧客の日々の生活に密着して、その時々に、有益な情報を提供する、こうした落ち着いたプロモーションが、これからのコミュニケーションである。

 その情報・メディア環境は、以前と比べれば数段に高度になってきており、改めて、メディアの統合力こそが、プランナーの技術であることがはっきりとしてきた。